特集

主張

職場と法律(1) 保健所

 名古屋市の仕事は、たくさんあります。病院、保育園、学校、区役所、清掃事業、保健所など…
 人間が生まれてから亡くなるまで、生活のサイクルを自治体の仕事が一緒に支えています。
 ところが名古屋市は、「小さな政府」を良しとして、どんどん「自治体の公的責任」を放棄しています。市職労教宣部は、「職場と法律」というテーマで、名古屋市の仕事を取材しました。第一回の職場は「保健所」です。

憲法25条と地域保健法

   私は保健所で働いています。
 保健所の役割は2つ。「普通(の生活)を守ること」、そして「緊急に対応すること」です。
 「普通の生活を守る」には、健康でなければなりません。当たり前の中から「予防する知識」を広げる、それが保健所の大切な仕事です。

 保健所では以前行っていた市民検診を行わなくなりました。それは市民のなかに「検診は大切」という意識が普及した成果。決して保健所の役割が終わったわけではなく、いま私たちは「健康増進の知識の普及」という本来の仕事に立ち返れている状態です。

 市職労えいせい支部は「中で待つのではなく、外に出て行こう」と出張相談事業を要求しています。地域に出て市民の中に入って、「体の調子はどうですか?」と尋ね、関心を引き出し、知識を広める事業です。市当局も要求を認めて事業化が進んでいます。

 地域によって性質が違うので、えいせい支部は、1区1保健所制度はもちろん維持し、保健師の地域担当制も要求しています。
 「緊急に対応する」には、日常的な研究や分析が必要不可欠です。そのために保健所には、歯科衛生士、栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師など、いろんな職種が揃っています。
 いまは新型インフルエンザの対応に追われていますが、市民が不安な時だからこそ正確な情報提供と、体制をとる必要があります。1区に1保健所があって、対応する人数・職種がいるからできることです。
 しかし、すべての職場の人員不足のために、保健所が区役所と統合される危険があります。保健所と区役所は、仕事の質も内容もまったくちがうもの。連帯は必要ですが、それぞれの果たすべき大きな役割があります。

 保健所は「憲法25条」、そして「地域保健法」に基づいて「地域住民の健康の保持及び増進に寄与すること」のためにあります。
 生まれてからずっと、保健所は健康づくりのパートナーなんです。

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