− 主張、調査
中小企業実態調査
名古屋市職労は昨年10月、愛労連や愛商連などと一緒に「名古屋の中小企業の元気を取り戻そう」実行委員会を立ち上げ、中小企業実態調査に取り組みました。
724社(約4割)から結果が寄せられる
◆調査対象…NTT情報開発株式会社のタウンページデータベースには、市内の金型、金属プレス、射出成型、切削が2146社あります。今回の調査は、重複などを省き1911社を対象にしました。最終的に724社(37%)から調査結果を取得し、製造業調査のなかでも、特筆すべきデータになりました。
◆いただいた意見
○仕事増
・仕事をふやしてほしい。
・現在の自動車100%から他の事業への展開も考えたいが、資金等、何もできない。
・受注先をどんどん紹介してほしい。
・仕事量が少なく利益がでない。零細企業の末端まで仕事がいきわたるように・・・
○融資制度
・保証人の必要のない融資制度を希望します。
・中小零細企業にもっと資金援助を!
・返済ができない。
・困ったときの短期型融資を。
・融資を受ける場合の審査手続きが煩雑で手間がかかりすぎる。
○技術継承
・町工場の技術力がすたれる前に、伝え活かす場、方法を見出せないか。
・高齢者の熟練者と事業拡大したい若手経営者との結び付けを支援して。
・技術があるので取り組もうとしている職業学生等に教えたい。
○税対策
・赤字の年は事業所税をなくしてほしい。
・法人税も少額なら免除を。
・中途半端な減税なら不要。成長産業・分野を見極め先手で誘致活動をして先進技術立県を目指すべき。
○ネットワークづくり
・燕市や各務ヶ原市のようなネットワークづくり。
・協力先の紹介。
・仕事の発注したい企業と仕事を求めている中小企業との橋渡し。
・会社PRを中小企業に配り、組合などを通してマッチングできるといい。
○海外事業対策
・名古屋市近郊に仕事を定着させてほしい。海外へのグローバル化より国内、市内に仕事を確保できる施策が必要。
・海外展開のための事業資金の支援策を望む。
○施設・制度改善
・平日は仕事で抜けられない。小さな町工場はどこもそうだと思う。土・日or夜にセミナーなど開くべき。
・信頼して相談できる機関があるといい。
・語学向上の支援が公的に行われれば行きたい。
○その他
・中小の町工場を見て聞いて対策を考えるべし。
・宣言は評価するが、国や地方自治体の具体的な取組がよくわからない。
・ものづくりを中心とした名古屋独自の施策を期待する。
などたくさんのご意見いただきました。
事業所数はピークから半減
◆名古屋市の製造業 事業所数
1980(昭和55)年頃、約20000あったものが、現在は10000をきっています。
2009(平成21)年度の市工業統計調査では、製造業事業所数は前年比11.3%も減少。昭和26 年以来、初めての2桁台の減少です。従業者数も前年比8.1%の減少。製造品出荷額等、生産額及び付加価値額も、前年の約4 分の3にまで激減しています。
名古屋市製造業の特徴
歴史的に見ると、名古屋市の製造業は、木曽三川など豊かな地域資源と結びついて、「木」、「糸」、「焼きもの」、「機械」など「ものづくり」が盛んな地域です。戦後、名古屋市の製造業は、機械、食料品、繊維工業、木工、出版・印刷、輸送用機器、電気機器、化学工業など多様な産業を発展させています。
平成20年の工業統計調査を見ると、名古屋圏域では製造品出荷額の約4割程度を自動車などの輸送用機械器具製造が占めていまが、名古屋市の製造業の事業所数を見ると、1位は金属製品製造業、2位は生産用機械器具製造業、3位は印刷・同関連業となっています。 NTTの産業分類コードから、具体的なものづくりの生産工程を見ると、名古屋市の製造業は、大都市を繁栄して、印刷が1,006で1位となっています。2位は切削加工752です。市内の工場では、工作機械を駆使して、「ものを削る」職人さんが多いことがわかります。井内尚樹(名城大学)
中小企業憲章を生かそう!
◆調査を終えて…私たちは求めます
1.中小企業憲章を生かした市政を!
政府は昨年6月に中小企業憲章を閣議決定しています。「中小企業憲章」を生かして、元気に仕事ができるまちをつくりたい。ご一緒に共同を広げる名古屋市をつくりましょう!
2.全産業規模での実態調査を!
今回のアンケート活動では、名古屋市でがんばる中小企業のみなさんの声を聞くことの大切さが明らかになりました。私たちはまず名古屋市が全産業規模での実態調査をすること、その声を市政に生かすことを求めます。
市の施策の活用を!
3.昨年9月に名古屋市が実施した「中小企業実態調査」では、事業評価のワースト3は、「産業支援内容」「産業支援施策等に関する情報」「ワンストップサービス」(左図)でした。私たちは市の施策をもっと知ってほしい、活用してほしい、と考えています。