− 主張
若者が見た成績主義賃金の真実
「やりがい」は市民に喜ばれる仕事をすること
「9月〜10月に実施した青年要求アンケートには『職場の働かない人よりも自分の給料が低いのはおかしい。正当な評価を受けたい』という声が出されていました」と青年部長。この声に対して賃金調査部長は相対評価という名の落とし穴を指摘しています。「AさんとBさんを比べて、AさんもBさんも良ければ両方とも5点をつけていいですよという絶対評価ならばいいんですが、限られた予算の中で、双方とも「特に良好」な評価であったとしてもAさんは5点、Bさんは4点という相対評価にならざるをえません」と話します。この事は2001年度から人事評価制度を本格実施させた大阪府職の事例の検証を見ても明らかです。大阪府では、まず絶対評価で5段階評価し、その評価結果をもとに相対評価するという手法をとっています。府当局が発表した相対評価の「試行の結果」では、評価の対象となった8,949人のうち、1,648人もの職員が相対評価によって絶対評価よりも下位の評価をされました。この結果からも相対評価ががんばって仕事をしている職員を無理やり下位評価の枠に押し込めるという本質を示しています。「賃金で差をつけて仕事へのやる気を引き出そうとしても、賃金を下げられた人はさらにやる気を失います。それは職場にも市民生活にもプラスじゃない」と賃金調査部長。「評価制度は職員のやりがいを喪失させ、組織の活力を下げてしまう。職員全員が自治体労働者としてのやりがいを感じながら市民のために働いて、なおかつ生活も安定できるような賃金制度を構築すること。そして、職制が責任をもって職員をフォローアップし、組織として市民のための仕事を追求していくという道筋を作っていくのが名古屋市当局の仕事です。市職労としても、職場からの運動の積み上げで、その実現を市側に迫っていくことが大切です」と話しました。
評価される側もする側もジレンマ
「保育園では園長が評価者。園長は事務仕事なども忙しくて常に職員たちの保育を見ていることは現実的にできない状況の中で評価されることが疑問ですね」と青年部のIさん。「環境事業所でも朝出勤をして収集車に乗り、昼に帰ってきて昼食後また出ていって夕方に帰ってくる。その間、評価する側の所長は職員の仕事ぶりは分かりません。評価される側も、する側もジレンマを持っています。このことは2012年度に市側が実施した評価者を対象としたアンケート結果にも明確に出てきています。お互いに納得できないような評価制度はいずれ破たんせざるをえないでしょう」と賃金調査部長は話しました。